競馬ファン待望のサウジカップのすべて

競馬が最も期待され、最もリッチなスポーツイベントのひとつであることには疑う余地はありません。そのひとつがサウジカップです。サウジアラビア王国のリヤドにある、キング・アブドゥルアジーズ競馬場で開催される国際競馬です。

信じられないかもしれませんが、このイベントは最もリッチな競馬イベントのひとつとされています。実際、賞金総額は2,000万ドルに及びます。ちなみに、競馬場の名前は、王国の創設者である初代国王の名前に由来しています。

サウジアラビアジョッキークラブが主催する2日間に渡るイベントです。世界で最も人気のある競馬イベントのひとつでもありますが、その理由には、質の高いダートや芝のレース、そして最高レベルの競走馬が出走することがあげられます。

このレースのすばらしい点は、文化的に厳しいルールがあるにもかかわらず、男女のジョッキーの参加を奨励していることです。また、王国が国際的なレベルでプロモーションを行い、より多くの観光客や投資家を誘致する方法でもあります。

世界で最もリッチな競馬イベントのひとつとされている理由には、パートナー企業の存在もあります。その一端をご紹介しましょう。

  1. アルラジ銀行:世界最大の銀行のひとつ
  2. STC:デジタルソリューションの提供を目的とした通信事業者
  3. サウディア:5つ星のグローバルエアラインとして評価されている王国のナショナル・フラッグ・キャリア
  4. ベントレー:最も人気のある高級車ブランドのひとつ

コロナの予防的措置について

残念ながら、サウジカップ2021は非公開で開催せざるを得ませんでした。スタッフとゲストの全員が、厳しい予防措置をとることが求められています。これは、全員の健康が安全であることを確認するためです。遵守される規則は以下のようになります。

  1. すべてのゲストは保険省(MOH)が発表したPCR検査の陰性証明書を提出
  2. 海外からのゲストの場合は、ビザに関連した特別な許可を提出する必要があり
  3. 空港から来たゲストは、完全に消毒された車で、指定の宿泊施設やホテルまで送迎
  4. すべての参加者は、定期的にテストを受ける必要があり

サウジカップは招待制のイベントです。登録されていないゲストは会場に入ることはできません。しかし、参加ゲストやメディアは2,500人を超えています。競馬ニュースサイトによると、コロナの安全規約を厳守するために招待制になったとのことです。

サウジカップ2021

このシーズンを伝説的なものにしているのは、3,000万ドルの賞金総額です。面白いのは、日本の競走馬がこのイベントを支配したことです。そう言えば、2020年に開催されたサウジカップの発足時に敗れた日本馬が復活したのでした。

初日に行われたイベントには、日本から5チームがサウジダービー(1600メートル)、リヤドダートスプリンツ(1200メートル)、サウジカップ(1800メートル)に参戦しました。

ミシュリフの経歴

日本馬がレースを支配したとはいえ、ミシュリフが鞍上にデビッド・イーガンを迎え勝利しました。ミシュリフはアイルランド産ですがイギリスで調教されたサラブレッドで、2019年の有望な2歳馬のうちの1頭と目されています。驚くべきことに、サウジカップへの参戦は4歳になって初めてだということです。

2歳馬シーズン

ミシュリフは、ヤーマス競馬場で行われた7ハロンの重馬場のノービスレースで、ロブ・ハブリンを鞍上に据えてデビュー。このとき、有望な競走馬として認識されました。

3歳馬シーズン

2020年、ミシュリフはリヤドに派遣され、サウジダービー(1600メートル)に出走しました。スタートが荒れたにもかかわらず、13頭の出走馬の中で2着で終了。2020年のアイルランドとイギリスでのフラットレースに出走する予定でしたが、コロナ禍により中止となりました。

数カ月後、フランスに派遣され、シャンティイ競馬場で行われたジョッキークラブ賞(2100メートル)に出走。一方、他の出走馬は、シャシュナック、ヴィクタールドラム、ゴールドトリップなどが名を連ねました。

8月には、重馬場のドーヴィル競馬場で行われたギョームドルナノ賞(2000メートル)にも出走しました。ミシュリフは、アスコット競馬場のチャンピオン・ステークスで2020年のシーズンを終了。2番人気でしたが、出走10頭中8着に沈みました。

4歳馬シーズン

ミシュリフは、再びサウジカップの地を踏みます。幸いなことに、シャルラタンとニックスゴーの後塵を拝したあと、勝利することができました。イーガンは、ミシュリフが跳んだ最高のジャンプだと話すとともに、レース中のパフォーマンスにも驚いたそうです。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、ミシュリフのオーナーと騎手、そして調教師でもある父のジョンに代わってサディ・ゴスデンに3つのトロフィーを授与したのは、間違いなく最も報われた瞬間のひとつでした。

ただ1頭の代表

12頭の中で、日本代表はピンクカメハメハのみ。8番ゲートから抜け出してゴールを狙い、総額90万ドルの賞金を獲得しました。サウジ・ダービーでは、カウアンに勝利して総額150万ドルの賞金を獲得したこともあります。

「今日は初めての騎乗でしたが、未経験のダートでも、素晴らしい走りを見せてくれました。この馬はゲートに問題がないので、今日はすぐ飛び出しました。よく反応してくれて、最後まで快適なレースができました。」とピンクカメハメハの調教師である森秀行は語りました。

「今日はすべてうまく行きました。最終コーナーでの反応が非常に良かったのには驚きました。初めてダートを走ったのですが、今日のような雨の影響を受けた馬場には合っているはずです」と付け加えています。

ワンツーフィニッシュ

リヤドダートスプリントでは、コパノキッキングとマテラスカイがワンツーフィニッシュを決めて、120万ドルを一挙に獲得。コパノキッキングは、小林祥晃所有の6歳牡馬。スタートで失敗したものの、最終的には追い上げて1着でフィニッシュしました。

村山明調教師は、サウジアラビアのコースがコパノキッキングに合うかどうかわからないが、海外参戦は初めてで、最善を尽くしたと語りました。コパノキッキングは繊細で興奮しやすく、調教が難しかったためでもあります。

森秀行が調教するマテラスカイは2着に終わりました。これまでのレースでは常に抜かれていたため、このレースで勝つとは誰も予想していませんでしたが、母国の誇りとなりました。

ランナー

ジャスティンは、リヤドダートスプリントに出走したもう1頭の日本馬です。今回のリヤドダートスプリントへの出走は、中山競馬場で開催されたカペラステークス(G3)に出走したことがきっかけでした。このときの成績は6着で、賞金総額は3万ドルでした。

2回目の勝利

レオンテスは日本のサラブレッドで、2015年の最優秀2歳競走馬の1頭とも言われています。これも、マイナーなレースでの勝利と、朝日杯フューチュリティステークスでの活躍があったからです。

また、弥生賞では2着、皐月賞では4着、東京優駿では5着になったものの、怪我のため休養を取ることに。数ヶ月後、より強くなって復帰が叶い、森秀行調教師にサウジアラビアダービーで2勝目をもたらしたのでした。

日本唯一のランナー

チュウワウィザードは、実は1800メートルのダートで唯一の日本のランナーで、大久保龍志が調教したサラブレッドです。興味深いのは、キングカメハメハの息子だということです。しかし、サウジカップでは地力不足で9着に終わってしまったため、馬主の中西忍は総額30万ドルの賞金を手にしたに過ぎません。

2021年の勝者

2021年のサウジカップには、優れた競走馬が参加していることから、世界で最も待ち望まれているスポーツイベントのひとつとされています。その一部をご紹介します。

シャーラタン

シャーラタンは、ストレートレーシングが所有する、ボブ・バファート調教の4歳牡馬です。素晴らしいパフォーマンスを見せましたが、残念ながら2着に沈みました。バファートはシャーラタンとニックスゴーの対決が、レースをよりエキサイティングなものにしたと語っています。

グレイトスコット

グレイトスコットは、HRH皇太子であるファイサル・ビン・カレッド所有でアブドラ・ムシリフ調教の騙馬です。3着でレースを終えました。

ニックスゴー

ニックスゴーは、ブラッド・H・コックスが調教し、コリア・レース・オーソリティ所有の競走馬です。ジョエル・ロザリオ騎手と、4着でレースを終えました。また、2021年のメリーランド州の年度代表馬を獲得したとして評価されています。

スリーピーアイズトッド

スリーピーアイズトッドは、300万ドルのペガサス・ワールドカップ・インビテーショナル・ステークスにも出走していた5歳の真骨頂とも言えるブルーカラーヒーローです。興味深いのはわずか9,000ドルで購入されたにもかかわらず、ミゲル・シルバの調教で15戦中8勝している点。鞍上アレクシス・モレノで、5着でレースを終えています。

ミリタリーロー

ミリタリーローは、ムサベ・アル・メイリが調教師、ナシル・アカールが所有する6歳騙馬です。アメリカやヨーロッパのライバルを破ったものの、アントニオ・フレスク騎手とともに6着でした。

タシトゥス

タシトゥスはアメリカのサラブレッドで、タンパベイダービー、ウッドメモリアルステークス、サブアーバンステークスを制しました。また、ウィリアム・モットが調教し、ジャドモント・ファームズ社が所有しています。鞍上ウィリアム・ビュイックで7着入賞でした。

バンコク

バンコクは、キングパワーレーシング社が所有し、アンドリュー・ボールディングが調教した5歳馬です。ライアン・ムーアが騎乗し、8着でレースを終えました。ボールディングは、バンコクがダート未経験だったからこそ、このような結果になったと語っています。これはバンコクが世界で最も多才な馬の1頭であることを証明しています。

ディリーヴォ

ディリーヴォは、アブドラ・ムシリフが調教し、HRH皇太子であるファイサル・ビン・カレッド所有の5歳牡馬です。騎手のクリスティン・デムーロと10着でレースを終えました。興味深いのは、この馬もイギリス産のサラブレッドだということです。

マックスプレイヤー

マックスプレイヤーは、スティーブン・アズムッセンが調教師、ジョージ・ホールが所有する4歳牡馬で、アメリカのサラブレッドでもあります。マックスプレイヤーが11着になった時の騎手は、ミカエル・バルザローナでした。

グローバルジャイアント

グローバルジャイアントは、ジョン・ゴスデンが調教師、アル・アジャド・レーシングが所有する6歳馬です。ランフランコ・デットーリが騎乗し、12着でフィニッシュしました。イギリス産のサラブレッドです。

エクストライルーシヴ

エクストライルーシヴは、ロジャー・チャールトンの調教で、イマド・アルサガーが所有する6歳馬です。あまり知られていないかもしれませんが、エクストライルーシヴは将来有望な競走馬の1頭です。サウジカップへの招待はサプライズとは言え、ホリー・ドイル騎手とともに13着でフィニッシュしました。

シムシアー

シムシアーは、ファウジ・アブドラ・ナスが調教師、ヴィクトリアスが所有する5歳騙馬です。ご存じないかもしれませんが、ナスはほかとは一線を画す調教師なのです。シムシアーは、バーレーンインターナショナルで優勝したものの、14着に終わりました。

競馬ニュースサイトなどで、サウジカップが話題になっているのは間違いありません。もう一つの理由は、王国で知られた著名人が参加していることです。印象的なのは、安全面での障害が多いにもかかわらず、イベントが成功したことです。

好き嫌いはともかく、競馬イベントは国の経済に大きな影響を与えます。王国が優秀な騎手たちにこのイベントへの参加を呼びかけているのも、そのためでしょう。

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