アーモンドアイ:新馬戦からジャパンカップまで-2020年JRA賞年度代表馬のすべてをここに紹介いたします。
アーモンドアイは、その引退までに数々の記録を更新してチャートのトップに躍り出たことで、日本の競馬界を震撼させました。惜しくも破れた2歳新馬からジャパンカップまでの歩みを振り返りながら、アーモンドアイの記録のすべてをご紹介いたします。これを読めば、アーモンドアイの重賞9勝に至るまでの戦績のすべてがわかります。

アーモンドアイは、重賞レース中11勝を挙げました。そのうち9レースがG1という日本最高牝馬の1頭です。日本一の牝馬となり、世界の歴代競走馬のトップ10にも選ばれました。2020年のJRA賞年度代表馬と最優秀4歳以上牝馬を受賞しています。2017年から2020年のアーモンドアイの歩みを見ていきましょう。

 

アーモンドアイの戦績

 

アーモンドアイは、シルクレーシング所有の鹿毛のサラブレッドです。騎手の勝負服は、鮮やかなブルーのシルクで、前に6つの赤い丸があり両肘に赤いストライプが1本入っています。正騎手はクリストフ・ルメール騎手で、控えは福永祐騎手一。調教師は国枝栄氏で、今年も調教師としての成績が評価され表彰されています。

アーモンドアイの最大の偉業と言えば、後続2戦ですぐに破られたG1において、7勝という大記録を牝馬として初めて更新したことです。しかも、秋の天皇賞で2019年と2020年の連覇を達成してから、ジャパンカップで締めくくったのですから驚きです。アーモンドアイはこれまでフラットレースにしか出走したことがありません。2歳の時には無格のステークスに2回出走し、3歳の時にはトライアルレースであるG3にも出走しました。残りのキャリアはサラブレッドにおいて最も格の高いG1ステークスに専念しています。

 

2017年のレース:2歳

 

アーモンドアイは、コントレイルやデアリングタクトのように完全無欠のスタートを切ったわけではありませんでした。だからといって、アーモンドアイが競馬界のセンセーションであることに変わりはありません。

 

8月6日:2歳新馬

新潟の新馬戦はアーモンドアイにとって初のレースとなりましたが、2着に終わりました。勝利馬はニシノウララ。残念なことにニシノウララは重賞レースに進出することはかないませんでした。出だしは荒れたものの、その後のレースでは2019年まで勝ち続けています。

 

10月8日:2歳牝馬未勝利

2歳未勝利は、2歳馬が正式に3歳シーズンに進む前の公式トライアルレースです。アーモンドアイはこのレースを制しましたが、印象的な勝利ではありませんでした。アーモンドアイ以外の競走馬は、すべて重賞に進むことはなりませんでした。

 

2018年のレース:3歳

 

アーモンドアイのキャリアにおける、最初の2戦は荒れていました。馬主と調教師はまだ、その力を証明できていないことがわかっています。

 

1月8日G3シンザン記念

アーモンドアイは戸崎圭太騎手を騎乗させて、シンザン記念に出走しました。三冠シリーズに挑戦する前に、コンディションを調整したのは正解でした。前走は1着になり、桜花賞の出走候補にもなっていました。前走と同じく、このレースのライバルたちはその後すぐ、重賞レースでのキャリアを終えています。2018年でしか活動できなかったのです。何頭かは早く引退したのですが、成果を上げるべく他のカテゴリーに挑戦しようとしていました。

 

4月8日:G1桜花賞

クリストフ・ルメール騎手がアーモンドアイの鞍上に戻り、牝馬三冠の前哨戦となりました。このレースは、キャリアの中で初めて重賞の有力馬と競い合ったレースでした。対戦相手は人気馬ラッキーライラックでした。他にもリリーノーブル、フィニフティ、マウレアなどの注目馬がいました。激しいレースにも関わらず、勝利を収めて優駿牝馬の座を確保しました。

 

5月20日:G1優駿牝馬

アーモンドアイは、再びラッキーライラックとリリーノーブルに挑みました。今回は2400mでの初レースということもあり、アーモンドアイをコントロールするためクリストフ・ルメール騎手はチームを必要としました。その甲斐があり1着を獲得しました。一方、リリーノーブルはラッキーライラックを抜いて2着となりました。

 

10月14日:G1秋華賞

優駿牝馬の後、アーモンドアイは夏の間ずっとレースから遠のいていました。走る時に蹄を打つ癖を矯正し、呼吸を整えるためのトレーニングを重ねていたのです。秋の三冠シリーズの最終戦に登場し、ラッキーライラックと再び相まみえることになりました。

アーモンドアイが勝利を収めましたが、ライバルのラッキーライラックは9着に終わりました。他にもサラキア、カンタービレ、ミッキーチャームなどの猛者が間に入ってきました。競走馬の血統は一般的にレースを大きく左右すると考えられています。アーモンドアイの父母はその時代の有能な競走馬であり、それがディープインパクトの子との対決に功を奏していました。

クリストフ・ルメール騎手は、アーモンドアイがレース中にの馬が進路を妨害したため、不安の兆候を見せたと指摘しています。にもかかわらず、彼らは大きなスペースを見つけ、三冠を獲得したのです。

 

10月25日:G1ジャパンカップ

ジャパンカップはG1レースの上位馬たちが集うクライマックスですが、秋華賞はアーモンドアイに負担をかけてしまっていました。国枝調教師は、いつもより痩せていて体温も高かったが、すぐに回復したと話しています。

アーモンドアイは、今シーズンのライバルたちと出会うことはありませんでしたが、それでも厳しい戦いを強いられました。とはいえ、秋華賞以降は調子が上がってきているように見えました。ナーバスになって、進路を塞がれてしまった経験から、ルメール騎手を驚かせるほどの冷静さを身に着けたようでした。

2着のキセキとは2馬身近く差をつけて優勝しました。2018年はアーモンドアイにとって、素晴らしい年でした。満場一致で「年度代表馬」「JRA賞最優秀3歳牝馬」を受賞しました。

 

2019年のレース:4歳

 

ほとんどの競走馬にとって、4歳になると真のキャリアが始まります。2歳や3歳の時に難しいシーズンを送っていた馬の多くは、生涯の後の段階で好成績を収めるようになります。

 

3月30日:G1ドバイターフ

ドバイターフは、アジアンマイルチャレンジの4戦シリーズのうちのひとつですが、アーモンドアイは出走が決まっていませんでした。アラブ首長国連邦の権威あるレースに参加したのは、ひとつでも多くのG1タイトルを獲得しようとしていたからです。

レースは簡単なものではありませんでしたが、アーモンドアイにとっては決して難しいものとは言えませんでした。ルメール騎手は1800mの間、アーモンドアイはずっと落ち着いていたとコメントしています。結局、1着でゴールし、その後、安田記念に向けて帰国しました。

 

6月2日:G1安田記念

東京で開催された安田記念もアジアンマイルチャレンジの一環です。残りのふたつのレースは、メルボルンのフューチュリティステークスと香港のチャンピオンズマイルです。コースは1600mしかなく、アーモンドアイが慣れ親しんだ距離よりも短い距離です。

アーモンドアイは、中団に入ってから全速力でダッシュし、最後のストレートでトップを獲ることに慣れています。しかし、このパターンは隙きを見つけられなかったので今回は無理でした。ラスト300mまでにスプリントすることはできましたが、インディチャンプとアエロリットに次ぐ3着にとどまりました。新馬戦以来の敗戦となってしまいました。

 

10月27日:G1天皇賞(秋)

アーモンドアイは、フランスの凱旋門賞に出走する予定でしたが取りやめました。低体温症になってしまい、帰国せざるを得なかったのです。その代わりに秋の天皇賞に出走しています。

アエロリットや安田記念から数頭が天皇賞に出走しました。今回は2000mのレースなので、アーモンドアイとルメール騎手は、過去のような失態は二度と起こらないと確信していました。ダノンプレミアムやアエロリットとの接戦の末、勝利しました。

 

12月22日:G1有馬記念

中山競馬場の2500mは、アーモンドアイがこれまでに走った中で最も長いコースです。しかし、距離は問題ではありませんでした。アーモンドアイの体調はよかったのですが、精神的な準備ができていなかったのです。ルメール騎手は、レースを通してプレッシャーを感じていました。キャリアの中で唯一、9位でゴールしました。

 

2020年のレース:5歳

 

2020年はアーモンドアイの最後の年となりました。目標は変わらず、できるだけ多くのG1レースを制覇することです。これまで素晴らしいキャリアを築いており、馬主はすでに引退を計画していました。これまでのところ、すでにG1を6回制覇しており、そのうち5回はJRAで、1回はドバイでのことでした。レジェンドの記録を更新するためには、あと1勝が必要なのです。

 

5月17日:G1ヴィクトリアマイル

アーモンドアイは、過酷なレースで年明けを迎えます。ダノンファンタジー、ラヴズオンリーユー、ノームコア、サウンドキアラとの1600mの短距離です。しかし、今回は苦戦しませんでした。ルメール騎手がシンクロできるリズムと落ち着きを終始保っていました。サウンドキアラに4馬身もの差をつけての勝利でした。

ヴィクトリアマイルを制したアーモンドアイは、これでG1制覇7回を達成。JRP史上最強馬と同等になりました。シンボリルドルフや、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックなどの伝説的な馬に肩を並べたのです。

 

6月7日:G1安田記念

目標は達成されたかもしれませんが、シーズンは終わっていません。ルメール騎手とアーモンドアイは、記録に残るG1タイトルを争いました。今回は、グランアグレリアが2馬身半差で1着になったため、それほど幸運とは言えませんでした。安田記念はヴィクトリアマイルからわずか1ヶ月しかなかったのですが、体調に問題はありませんでした。ルメール騎手と国枝調教師は「相手が強すぎる」と認めています。

 

11月1日:G1天皇賞(秋)

アーモンドアイは、秋の天皇賞のタイトルを防衛するために、復帰まで数ヶ月休んでいました。今回最大のライバルは、フィエールマンとクロノジェネシス。この時点で、国枝調教師とシルクレーシングは勝てなくても構わないと言っていました。レース中のプレッシャーを目の当たりにした彼らは、アーモンドアイが無事に帰ってきてくれることを願うばかりでした。

アーモンドアイとルメール騎手は、隙を見つけ奇跡的にやり遂げ、結局は勝つことができました。これでG1タイトルを8つ獲得しました。アーモンドアイが成し遂げるであろうと期待されていたものの、確実視されていなかった競馬史を塗り替えたのです。伝説の馬たちの一歩先を行き、前人未到の領域に達したのです。

 

11月29日:G1ジャパンカップ

アーモンドアイの8つのG1タイトルは素晴らしいものでしたが、今年のジャパンカップは「10年に1度のレース」になりそうな予感がしていました。アーモンドアイが引退前にG1タイトルを争っていた間に、同じ年に無敗の三冠馬が2頭誕生したのです。コントレールとデアリングタクトです。

コントレールとデアリングタクトの無敗を破ったのは、自己の牝馬最高記録を達成したアーモンドアイでした。JRAの強豪2頭を相手取って、9つ目のG1タイトルを獲得したのです。1着にアーモンドアイ、2着にコントレール、3着がデアリングタクトでした。

アーモンドアイは、JRAのG1最多勝利記録を更新。15レースで1,912,029,900円を獲得したことで、総獲得賞金ランキングのタトップに躍り出ました。これはキタサンブラックの20レースにおける1,876,843,000円を上回るものでした。

 

競走馬の血統

 

競馬界では、競走馬の血統は大きな要素であり、アーモンドアイは強力な血統の出身です。とはいえ、両親や兄弟の成績や名声、収入を上回る成績を残しています。アーモンドアイの父はロードカナロアです。2013年の年度代表馬、2012年、2013年の最優秀短距離馬を受賞しています。また、2018年にはJRA顕彰馬に選ばれています。

 

フサイチパンドラは、アーモンドアイの母です。有能なレーサーでしたがG1クラスでは活躍していません。また、父や子のように記録をもっているわけでもありません。しかし、ほとんどのレースで4着以内に入るという立派な記録をもっています。

 

アーモンドアイは、レースから引退しましたが、JRAでの仕事はまだ終わっていません。クリストフ・ルメール騎手は、将来、アーモンドアイの子とのレースを楽しみにしています。